会報誌113号 「蝸牛会の思い出」 寄稿:山口 雅弘さん

蝸 牛 会 の 思 い 出   山 口  雅 弘(長野市 平成7年3月退職)

 電友会北信地区俳句サークル「蝸牛会(かぎゅうかい)」は令和4年3月末日をもって約60年に亘る長い歴史に幕を閉じました。

最大時20名もいた会員も年々減少し、令和4年3月には4名にまで落ち込んでしまいました。

その上4名の中には病気等で筆が進まない状態の方もおり、これ以上の継続は困難と判断し、電友会事務局とも相談した結果解散することとしました。

長に歴史に終止符を打つことは誠に断腸の想いでありましたが、先輩方の思い出を残そうとの思いから毎年発行の「信和」に掲載した会員の投句を切り貼りし、会員の入・退一覧表とともに作成し、会員と元会員に配布したところです。

私の入会は2003年(平成15年)10月でした。初めての句会は千歳町公民館で17名の先輩方と一緒に参加させていただきました。最初に「信和」に投句した句が次の三句でした。

 

  更衣襟足白き乙女往く

  雷鳴や犬の遠吠ゑ此処彼処

  夢の中浴衣姿の亡父母若し

 

 私が入会当時は鈴木武司さんが幹事として会の司会や句集の発行等を行っていましたが、2008年(平成20年)4月から鈴木さんからバトンタッチし、以降幹事としての役割を全うさせていただきました。会長も栗林孝次さん、鈴木武司さん、陸川直則さん、高橋鴻志さんと四代に及びました。

句会は毎月1回の定例会の他、7月に納涼句会、1月に新年句会を開催し、句会のあと、懇親会を開催し若き時代の話や流行歌を歌うなど親交を深めました。

   

 

その他、吟行会も時々開催し、須坂、松代、善行寺等を散策し当日句を披露しあいました。

また、電友会主催の「いきいき作品展」には最初は短冊を展示していましたが、近年は色紙に各自自信作を書いて落款を押して展示するようになりました。

 私も蝸牛会に入会して20年近くになりましたが、先輩方のような秀句ができずにきてしまいました。旅に出ることが多かったことからその都度印象に残ったことを詠んだ句を読み返してみると当時の光景や思い出が鮮やかに蘇ってきます。印象に残っている句を紹介します。

 

  壕(がま)出でて日射し眩しや雲の峰 (沖縄の戦跡を訪ねたとき)

  光の輪抜けて難波の冬の月 (大阪の冬のイルミネーション)

  原発地鈴なりの柿主無し (福島の原発避難区域をバスで視察した際)

以上私の拙い蝸牛会の思い出を書いてみましたが、長い間「蝸牛会」に寄せられた電友会の皆さんのご厚情に感謝申し上げますとともに、また新たな形で「俳句の会」が復活することを願っています。